「社会保障がない」中国 シャドーバンキングの存在に懸念も – livedoor



 当連載では、中国経済バブル崩壊について解説し、中国はあらゆる面で発展の限界に達していることをお伝えしてきた。今回は、また違った側面から、中国経済の問題点を見ていきたい。

 中国の場合、バブルが膨れ上がるスピードがあまりに早く、インフラや社会制度が十分に整備されないまま崩壊しようとしているという問題がある。

 中国のバブルが拡大した理由のひとつに、社会保障制度の脆弱性がある。中国の場合、年金をはじめとした社会保障制度がないに等しい。つまり、人々は老後の資金などにおいて国をあてにすることができないため、自ら用意する必要があるのだ。

 また、前回言及したように、今の中国は一人っ子政策の弊害で若年層が少なく、高齢者が多い。そのため、将来的には1人の現役世代が6人の高齢者を支える人口構造になるといわれる。当然ながら、介護負担などが重くのしかかる。

 このような状況においては、老後の資金を自ら蓄えておかない限り、人生設計すらままならない。そういった事情から、中国では余剰資金は貯蓄に回りやすい傾向がある。そして、そこで問題になるのがシャドー・バンキング(影の銀行)の存在だ。

 これは、証券会社やヘッジファンドなど銀行以外の金融機関が行う金融仲介業務で、理財商品と呼ばれる高利回りの資産運用商品が、その代表格である。一種の私募ファンドともいえるが、かつては多くの人が安心してこれを買っていた。

 中国の企業には、国有あるいは地方政府や中央政府の幹部が絡んでいるものが多い。そのため、「企業は潰れない」「政府が倒産させないだろう」という前提があり、人々は高利回りの理財商品を疑うことなく買っていた。

 しかし、2014年に中国は大きな方針変更を行った。「今後、適正でない企業に関しては倒産を容認する」としたのだ。つまり、今後は企業の倒産が発生することを意味しており、実際に倒産や社債のデフォルトが起き始めている。こうなってしまうと、もはや理財商品は安全であるとはいえなくなってしまった。

 理財商品を中心としたシャドーバンキング市場は約300兆円ともいわれており、仮にデフォルトが続けば、その影響は計り知れない。

●不動産も株式も逆ざやになってしまう中国

 また、価格上昇を続けてきた不動産市場においても、限界が見えてきている。都市部の不動産投資の利回りは、平均2%前後まで低下してしまった。これは、どういうことだろうか。

 例えば、ある物件を5万円の家賃で人に貸したとする。年間の家賃収入は60万円だ。その物件の価格が1000万円の場合、年利は6%ということになる。しかし、3000万円の場合は年利2%だ。これでは、中国の平均借入金利のほうが高い。つまり、今は多額のお金を借りて不動産を購入して投資に回しても、完全な逆ざや状態になってしまっているのだ。

 言い換えれば、中国の不動産価格は上限に達している。そんな中で起きたのが、今回の株式バブルであった。中国の株価は1年間で約2.5倍、年初からの上昇率60%という異常な上昇を見せた。これは、ほかの市場から逃げてきた投資資金が、株式市場に一極集中したからである。

 また、この株式市場拡大の背景には「政府の方針として、株価の高値を維持する政策をとるだろう」という、人々の期待もあった。ところが、株価の上昇も限界に達した。

 中国の株価収益率(PER)は、銀行などの金融業種を除くと、約40倍にまで上昇していた。一般的に、PERの数値は高いほうが割高とされる。配当などを考えた場合、これでは株式投資も逆ざや状態になる可能性が高く、このような状態で株価が上昇し続けるのはありえない。そこでバブルがはじけたのは、必然の結果といえる。
(文=渡邉哲也/経済評論家)




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