[沖縄県産本コレ読んだ?]原田禹雄著「尖閣諸島 冊封琉球使録を読む」 日中どちらにも属さぬ島 – 沖縄タイムス



 2006年、冊封使録の訳注に全身全霊を傾けていた原田禹雄先生の、四六判の小さな本『尖閣諸島-冊封琉球使録を読む』を出した。政府が尖閣を国有化し、大きな政治問題となって噴出する6年前である。

「尖閣諸島 冊封琉球使録を読む」(榕樹書林・1512円)
「尖閣諸島 冊封琉球使録を読む」(榕樹書林・1512円)

 当時私は原田先生の仕事に関わる中で、冊封使録の内容と井上清著の『尖閣列島』の大きなギャップを感じており、かつ、中国の中華帝国主義とでもいえるような方向に大きな疑問を持っていた。冊封使録の訳注を今の問題と繋(つな)げることを通して冊封使録そのものへの注目を高めていきたいと考え、先生に冊封使録の中の尖閣諸島に関する記述をひとまとめにした本を出したい、と提案したのである。

 先生は短期間の内に原稿をまとめられ、大変説得力のある、いわば井上清説批判をまとめたのである。本書は尖閣諸島が古来より清朝に至るまで中国自体が自己の領域であると認めたことはないことを明らかにするとともに、冊封使録の記述を細かく検討し、尖閣が中国の領土だという歴史的根拠は何もない、ということを明確にしている。

 誤解しないでほしいのだが、かといって尖閣が日本のものだ、という証明もまた、ないのである。日本が尖閣と関わるのは、琉球処分によって琉球を併合してからのことに過ぎないのだ。

 尖閣諸島は、琉球と中国の通交の中で標識島の役割を持ち、領土的関心のワクの外であった。もしもあえて尖閣をどこかの領域に入れるとするならば現実の関わりという点では琉球国のものだと言うしかないのではなかろうか。

 表紙には鄭若曽『琉球図説』の琉球国図を用いた。この地図では琉球国の左に小さく、尖閣だけではなく「小琉球」すなわち台湾が描かれている。この地図を根拠に「台湾は琉球のものだ」と言うつもりはない。これは私の精いっぱいの皮肉のこもった装丁なのだが…。(武石和実・榕樹書林代表)




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