中国、ネット大手一斉調査 テンセント・新浪・百度 – 日本経済新聞



 【成都=多部田俊輔】中国国家インターネット情報弁公室は11日、国家の安全を脅かす情報を流す利用者がいるとして、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)、新浪(シナ)、百度(バイドゥ)に対する調査に着手したと発表した。大手への一斉調査は極めて異例。最高指導部を大幅に入れ替える共産党大会を前に、習近平国家主席の支配強化を妨げる世論や情報を封じ込める。

 調査対象になったのは、中国版LINE(ライン)と呼ばれるテンセントのスマートフォン(スマホ)向け無料対話アプリ「微信(ウィーチャット)」、中国版ツイッターと呼ばれる新浪の交流サイト(SNS)「微博(ウェイボ)」、百度が運営する有力ネット掲示板「貼●(くちへんに巴、ティエバ)」の3サービス。

 ネット情報弁公室によると、3サービスには暴力やテロ、虚偽やデマ、わいせつなポルノなど国家の安全や社会秩序を脅かす情報を流す利用者がおり、3社の管理は不十分だと判断。ネット空間の統制を強化する「インターネット安全法」違反の疑いで調査を始めた。

 3サービスの合計の利用者数は13億5400万人に達する。利用者は重複するが、それぞれ異なる特徴を持ち、中国のネット世論の形成をけん引している。ネット企業幹部は「この3サービスをおさえれば、中国のネット世論を基本的にコントロールできる」と語る。

スマートフォンの普及により人々は日常的にネットを通じ情報を収集するようになった(中国・上海)

スマートフォンの普及により人々は日常的にネットを通じ情報を収集するようになった(中国・上海)

 具体的には、ウィーチャットは中国で老若男女を問わず最も普及している連絡手段。メッセージや音声で会話を楽しみ、写真、動画、金銭をやりとりするのに使ってきたが、「公衆号」とよばれる公式アカウントで自分の意見を発信する利用者が増えている。

 利用者が9億人超と多いため、社会問題で意見を発信する弁護士らも多い。当局の監視が強くなっており、8月初めにも300を超えるアカウントを閉鎖・停止。今回の調査により、さらに多くのアカウントの閉鎖につながる可能性もある。

 ウェイボは社会にかかわるニュースに連動して発信する利用者が多く、デモの呼びかけに使われたこともある。同社によると7月だけで政治に関する書き込み約11万8千本を削除し、400件強のアカウントを発信停止などの処置にした。

 ティエバは中国との関係が悪化した国の製品の不買運動やネット攻撃を呼びかけるのに使われることが多いとされる。国営新華社が運営するネットサイト「新華網」によると、ティエバの担当者は今回の調査に関し「大量の人的資源を投入しているが、不適切な情報が残ってしまい、遺憾の意を表する」としている。

 中国ではネット世論が大きな力を持つ。メディアが共産党の代弁者と位置づけられ、真実を知りたい人への影響力が限られるためだ。党は支配を揺るがす世論が盛り上がることを警戒。ノーベル平和賞を受賞した民主活動家、劉暁波氏が7月に死去した後は追悼する書き込みの封じ込めに躍起になっている。

 6月には統制を強化するためネット安全法を施行。米アップルがネット規制を回避する個人向けの仮想私設網(VPN)アプリの販売を停止し、テンセントなどネット4社が合計千件以上のブログなどのアカウントを閉鎖する事態となった。




こんな記事もよく読まれています



コメントを残す