中国、北朝鮮側ともに緊張が高まる中朝国境沿線 大宅京平 – ハフィントンポスト



2016年8月末、北朝鮮北部地方と中国延辺地方は台風10号による豪雨で豆満江流域を中心に大洪水に襲われ、豆満江沿いの中国側の道路は各地で寸断された。

現在も道路復旧工事は進められているが、外国人はもちろん現住民でさえ当局からの「許可証」が無ければ国境地域への接近は禁じられており、軍や警察、辺防隊の検問所以外にも移動検問が設けられており、状況把握が難しい。

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昨年8月、中国図們側からみた大洪水に襲われた北朝鮮

中国は16年4月に「外国 NGO 国内活動管理法」を制定し、17年1月から施行。同法は外国 NGO を公安機関(警察)が管理監督し、「政治や違法な宗教活動」「中国の国家統一と安全、民族団結、国家利益に悪影響を与える」と判断した場合刑事責任を追及するもので、特に人権団体や宗教を背景とする活動を厳しく制限している。この他にも中国内で活動する外国人を狙って、反スパイ法、国家安全法、反テロ法を制定した。

中朝国境隣接地帯でも外国人取締りが強化されている。1月25日の韓国MBCTVは、12月20日夕刻、延吉市内で脱北者を人身売買から保護してきた韓国人宣教師が滞在する民家30余カ所を中国公安が一斉に急襲し32人を逮捕したと報じた。聯合通信は2月11日付で、中朝国境隣接地域で布教活動をしていた米韓の牧師4名が延吉市内のホテルで中国公安に逮捕されたと報じた。

2月15日には、中国当局が吉林省から多数の韓国人宣教師(脱北者支援者を含む)70人と家族を国外追放と報じた。3月15日にも、中朝国境隣接地帯で脱北者を助けた韓国人牧師2人を緊急逮捕したと報じた。このように、外国人が脱北者を救援する活動はますます難しくなっている。

また、中国国防部は外信報道を否定しているが、自由アジア放送(RFA)は4月15日に延辺朝鮮族自治州の消息筋からの情報として、龍井市の人民解放軍16集団軍68師団配下の歩兵部隊が龍井市開山屯鎮、和龍市スンソン鎮、図們市と琿春市に配置され、和龍市ソンハピョンに戦車部隊が緊急投入されたと報じた。北朝鮮の核、ミサイル問題も中朝国境沿線の緊張を高めている。

脱北は一段と難しくなった

一方、北朝鮮は中朝国境沿線地帯の住民に移動申告制を導入したとFRAが4月19日に報じた。咸鏡北道の消息筋は、4月に国境沿線の住民に、外出時は人民班に目的地を申告させる指示が中央から伝達されたという。各所に設置された検閲警戒所で身体と所持品検査を徹底的に受け、検閲が終われば許可証を出すが、許可証なく捕まると分駐所で調査されるという。

咸鏡北道の別の消息筋は、中央の指示で豆満江から150mの区間は一般住民の接近が一切禁止され、洗濯や生活用水として豆満江を利用してきた住民の不便は並大抵でないという。

脱北は一段と難しくなっている。北朝鮮国境警備隊などへの渡江費(中朝国境の川を渡る賄賂)が高沸し、北朝鮮一般住民の脱北は事実上不可能に近い。韓国の脱北支援団体長の安明哲氏や鄭光日氏によれば、2000年代初期には平均5万ウォン(約$45)で、金正恩執権直前は200万〜400万ウォン(約$1,780~$3,500)だったが、2012 年頃から急激に上がり始めて1,000万ウォン(約$8,900)、現在は1,500万~1,800万ウォン(約$13,300~$16,000)だという。

最大の原因は脱北ブローカーの減少で、金正恩が脱北幇助者を処刑するなど、処罰を大幅に強化している為だ。更に、以前は国境警備隊員だけの買収で良かったが、今は最低でも幹部保衛員にまで必要だという。しかし、脱北成功の保証はない。

韓国統一部公表の今年1月から3月末に韓国に入った北朝鮮住民数は、男子46人、女子232人の計278人で、女子が83%を占める。09年に年間2,914人を記録したが、その後減少を続け16年は1,418人であった。近年、従来の脱北者の他に北朝鮮を合法出国して韓国に入るケースが増えている。女子の大部分は、最近の脱北者でなく、中国で何度も人身売買されて長年中国生活を経験した被害者とみられる。

※17年6月末の韓国入国北朝鮮住民数は7月公表予定だが、現時点ではまだ公表されていない。

(文/大宅京平/北朝鮮難民救援基金「NEWS July 2017 № 105」より転載)

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