「米韓分断に利用される」 文大統領の対話路線、米メディアなどから懐疑論 – BLOGOS



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 韓国と北朝鮮の閣僚級会談が9 日、南北非武装地帯で2年ぶりに開かれ、来月韓国で開かれる冬季オリンピックへの北朝鮮選手団の派遣などで合意した。会談実現を主導した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はその成果を自画自賛気味に強調したという報道がある一方、米メディアを中心に懐疑的な論調が目立つ。特に、この“オリンピック休戦”を北が米韓の分断工作に利用しようとしているという見方が広がっている。

◆米韓分断に利用される

 CNNは、「持続的な危機の緩和というよりも、一時中断程度のものだ」と、韓国がアピールするオリンピックに向けた和解ムードには冷めた見方だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)はさらに辛辣で、会談とその成果である“オリンピック休戦”は、北の金正恩委員長に「平和的なポーズを取ることを許しただけ」と書く。

 同紙はさらに、「それだけでも十分にしゃくに触るが、金正恩は、ソウルとワシントンを仲違いさせるという、より大きな成果を狙っている」と指摘する。国際問題が専門の英コラムニスト、ピーター・アップス氏も「平壌はワシントンと韓国を仲違いさせるための戦略を進めているように見える」(ロイター)と、同様の見解を示す。

 このように、欧米のメディア・識者の間では、北が核・ミサイル開発を放棄する意志を示さない限り対話はないというアメリカのスタンスに反して、太陽政策を掲げる文大統領がスタンドプレー気味に独走したこという見方が強い。WSJは、「文在寅大統領には、今回の会談が米韓分断につながらないということを明らかにする義務がある」と具体的な注文をつけているほどだ。

◆米空母の展開を支持

 ただ、韓国側の事情に一定の理解を示す向きもある。アップス氏は五輪を無事成功させるために、北によるサイバー攻撃やテロのリスクを排除する努力は不可欠だったと見て、「今週の慎重な外交によって、北によるサイバー攻撃やそれ以上の冬季オリンピック妨害のリスクは、ほぼ間違いなく減ったであろう」と書く。

 同氏はまた、アメリカは米本土に届く核とミサイルの開発の阻止を最優先としているが、既に通常兵器や化学兵器の射程圏内にある韓国は、そもそも立場が異なると指摘する。その上で、「ワシントンは将来の危機を排除するために戦争のリスクを取るかもしれないが、ソウルはそのような戦略に積極的ではない」としている。

 アメリカもオリンピックが終わるまではなるべく北を刺激しない方針ではあるようだ。韓国政府の要請に従い、毎年恒例の米韓合同軍事演習を五輪期間中は行わないことを決めた。ただし、大会終了後に再開する見通し(アップス氏)だという。また、米軍は、五輪期間中に空母カール・ビンソンを中心とした部隊を韓国沖に展開すると発表した。WSJは、この米空母打撃群のプレゼンスについて、「平和を望んでいるという若い独裁者のポーズよりも、ずっと信頼できる平和の保証人だ」と評している。

◆ムン政権の対話路線は北に利用されるだけ?

 トランプ米大統領は、南北会談を意識したのかどうか、「対話」に傾いたとも取れる発言をしたとも報じられている。CNNによれば、大統領は南北会談を控えた6日、キャンプ・デービッド(米大統領の別荘)で、金正恩委員長との電話会談を「間違いなく」望んでいると述べた。ホワイトハウスも、「しかるべき時期・状況下で平壌と対話する用意がある」と発表している。ただ、米政府は、これらは従来からの主張を繰り返しているに過ぎず、特に対北政策が変わったわけではないとしている。
 
 韓国の太陽政策の象徴とされるのは、北朝鮮南部にある開城(ケソン)工業団地だ。2004年から韓国企業が操業し、貴重な外貨獲得源になっていたが、北朝鮮の核開発に対する国際世論の批判の高まりから、2016年から操業停止状態となっている。文大統領は、この開城工業団地開発の再開を望んでいるとも見られている。

 アップス氏はそれについて、「韓国が国境をまたいだ経済圏を開くなどして北朝鮮との経済的関係を深めることを、米国は快く思わないだろう」と釘を刺す。WSJも年間約1億ドルの北の収入となる操業再開は経済制裁を軸とするアメリカの方針と矛盾すると指摘。「文氏は5月に就任して以来、(北との)直接対話を求めてきた。北はこれまで、ミサイルを完成させるためにそれを無視してきたが、今は南を対話に引き込むことにより、政治的なアドバンテージが得られると考えている」とWSJは書く。文氏の太陽政策に対しては、期待よりも「北に利用される」と不安視する見方が大勢なようだ。




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