朴氏暗殺の危機 罷免めぐり韓国世論分断…大統領府退去で証拠隠滅疑惑 06年には切りつけ事件も(夕刊フジ)



 韓国の憲法裁判所から罷免を言い渡され、失職した朴槿恵(パク・クネ)前大統領が12日、青瓦台(大統領府)公邸を退去し、ソウル市江南(カンナム)区三成洞(サムソンドン)の自宅に戻った。最高権力者から普通の人に戻った朴氏だが、韓国国内では憲法裁の罷免をめぐって世論が分断したままだ。警護がつくとはいえ、朴氏を暗殺などの危機が襲う恐れがないとはいえない。

 「検察が3月末から4月初めごろまでに朴氏の対面聴取を経て起訴まで終える方針を固めたならば、早ければ今週中に朴氏を出頭させる可能性もある」。13日にそう報じた聯合ニュースは、正当な理由なしに朴氏が出頭に応じない場合、「検察が逮捕状発付を請求するとの観測も一部ではある」と指摘した。

 失職の上、さらに逮捕・起訴の恐れもある朴氏は、こうした動きに不満を抱いているようだ。12日に関係者を通じて発表したメッセージでは「全ての結果については、私が負っていく」としながらも「時間はかかるだろうが、真実は必ず明らかになると信じている」と悔しさをにじませた。

 韓国紙、朝鮮日報(日本語版)の12日の記事では、元青瓦台の報道官だった閔庚旭(ミン・ギョンウク)議員の話として、朴氏の様子をこう伝えた。「朴前大統領に対して、元気を出してくださいと声を掛けたら『分かった』と言って涙を流していた。表情は明るかったが涙が流れていた」

 朴氏は10日の罷免決定後も公邸でさらに2泊したが、青瓦台内の証拠を隠滅するため、退去に時間がかかったのではとの疑惑も出ている。

 歴代大統領が家族のスキャンダルに見舞われたことを教訓に、朴氏は妹や弟さえ青瓦台への出入りを厳禁した。家族の代わりを長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告が務め、国政介入疑惑に発展したのだが、朴氏は昨年11月の記者会見で「家族の関係も切り、一人で寂しく過ごしてきた。長い縁のあった崔順実氏から助けを受け、つきあいを持っていた」と語った。その言葉からは、「肉親まで切り捨てたのに…」という朴氏の不満が透けてみえる。

 その不満を象徴するかのように韓国世論は分断したままだ。憲法裁の決定が出た10日、罷免反対派の抗議行動で死者が出たことはその表れで、今後も親朴派による運動が続く可能性があり、反朴派の動向も不透明だ。

 罷免に伴い、大統領年金の受給や、両親が眠る国立墓地に埋葬される資格を失った朴氏には、身辺警護はつく。だが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が退任後に自殺したことからも、警護陣が危険を完全に排除できるわけではない。

 朴氏はハンナラ党(当時)党首時代の2006年5月、統一地方選の遊説中、男にカッターナイフで切りつけられた。自叙伝『絶望は私を鍛え、希望は私を動かす』では医師から、「傷が頸動脈のすぐ手前で止まっていたが、あと五ミリでも深かったら三分以内に即死したであろう」といわれたと記されている。

 検察による逮捕・起訴の可能性もある朴氏だが、分断したままの韓国世論の高まり次第では、命の危険の可能性すらはらんでいる。




こんな記事もよく読まれています



コメントを残す