復興担う異国の若者 働けど実習生 人手不足、回らぬ現場(西日本新聞)



 「がんばろう!熊本」のシールが貼られたヘルメットをかぶり、てきぱきと動き回る。熊本地震から10カ月、熊本市内にある私立高校の耐震工事現場に、インドネシアからやって来たウィリ・サエフロさん(23)の姿があった。

【画像】漁業に従事するインドネシア人実習生も参加した合同成人式

 校舎の壁に鉄筋を張り、手際よく針金で固定していく。60代の熟練もいる現場で最年少だが、工事を請け負う甲佐鉄筋(熊本県甲佐町)の米田旨臣(よしおみ)社長(43)は「率先して働く姿勢がうれしい」と目を細める。

 来日して1年半がたつ。地震直後、10人きょうだいの末っ子を心配した家族から電話がかかってきても、帰国しなかった。「こわかったけど、べんきょうがんばります。みんなできょうりょく、たのしいから」。日本語も随分と上達した。

 3・24倍‐。熊本県内の昨年末における建設・採掘業の有効求人倍率だ。復旧現場はどこも、喉から手が出るほど人手が欲しい。

 近くのマンションでは、ベトナム人のドーヴァン・トゥアンさん(25)が仮設足場の解体作業に励んでいた。所属する会社は福岡県大刀洗町の北斗工業。2015年3月から社員寮で暮らしている。この日は車で2時間かけて現場へ向かい、時には「いちだんした(一段下)」と先輩に声を掛けながら、踏み台や柱をハンマーでたたいていた。

 「帰国するときはボーナスを持たせてあげたいね」と北崎勝繁社長(41)。トゥアンさんも、ウィリさんも、3年たてば日本を離れることが決まっている。彼らは外国人技能実習生。異国の若者なしには夜も日も明けない地域は、熊本だけに限らない。

黙々と汗 地方の救世主

 全長130メートルのセメント運搬船が建造されている大分県佐伯市の三浦造船所。作業に携わる約100人のうち、20人がフィリピン人の技能実習生だ。電装を請け負う地場企業、大電工業などから派遣されている。

 募集60人に応募ゼロ-。大電工業は地元の高校を中心に今春採用の求人を出しているが、反応は芳しくない。「会社の将来を考えれば、日本の若者に技術を伝えたいのに」。梶川茂夫社長(57)のため息は深い。

 佐伯は九州で最も広い市でありながら人口約7万4千人で、2005年の市町村合併から1万人以上も減った。市内の高校関係者は「安定志向や保護者の意向で、製造業であれば、キヤノンなど大手の関連企業を望む生徒がほとんど」と明かす。給与水準の高い県外企業への就職も多く、他の地方都市と同様、若者の流出に歯止めがかからない。

 実習生は時給813~835円で黙々と仕事に打ち込んでくれる。母国に比べて賃金は高く、既に稼いだ50万円で妻子のために土地を買った人もいる。担当する溶接の技術は帰国後も生かせる。彼らには3年という限られた時間しかない。

 一方で造船は、海外に拠点を移しにくい業態とされる。梶川社長は「実習生がいなかったら、会社をたたまなければならなくなるかもしれない。救世主だ」と感謝を惜しまない。

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