3700キロ超飛翔!グアム越え北「ICBM」また列島横断 安倍首相「断じて容認できない」(夕刊フジ)



 狂気の独裁者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が15日朝、また弾道ミサイルを発射した。北海道上空を通過させ、北太平洋に落下させたのだ。日本上空を通過する形での発射は6回目。米政府当局者は、アラスカや米国領グアムを射程内に入れる中距離弾道ミサイル「火星12」(最大射程5000キロ)との見方を示した。国連安全保障理事会は制裁強化決議を採択し、米国は北朝鮮と取引のある国との貿易停止に踏み切る大統領令を準備しているが、野蛮国家を経済制裁だけで止められるのか。実力行使も辞さない覚悟が必要かもしれない。 

 「国際社会で一致した平和的解決への強い意志を踏みにじり、北朝鮮が再び、このような暴挙を行ったことは断じて容認できない。国連安保理に緊急会合開催を要請する。世界の平和を脅かす北朝鮮の挑発行為に対し、国際社会で明確なメッセージを発する。北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はない。そのことを北朝鮮に理解させなければならない」

 インドから帰国したばかりの安倍晋三首相は15日午前、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対し、官邸で記者団にこう言い切った。

 日本政府や韓国軍によると、北朝鮮は15日午前6時57分ごろ、首都・平壌(ピョンヤン)の順安(スナン)地域付近から北東方向に向けてミサイルを発射した。同7時6分ごろ北海道から太平洋を通過し、同7時16分ごろ、襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下した。

 弾道ミサイルの発射から3分後の同午前7時ごろ、日本政府はJアラート(全国瞬時警報システム)を12道県に発令した。自衛隊法に基づく破壊措置命令は実施しなかった。

 今回のミサイルの最大高度は推定で約800キロ、距離は約3700キロ。米国領グアムへの距離約3400キロを超えている。通常より高く打ち上げるロフテッド軌道ではなく、通常軌道による発射とみられる。

 小野寺五典防衛相は15日、「(中距離弾道ミサイル)『火星12』の可能性がある」と語った。複数の米政府当局者も同様の見方を示している。8月29日に日本上空を通過した同ミサイルより、高度で約250キロ、距離で約1000キロ伸びている。5000キロという最大射程は、北朝鮮からアラスカまでの距離にほぼ相当する。ハワイへは約7500キロである。

 ミサイル発射2日前の13日、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会の報道官は「取るに足りない日本列島の4島をチュチェの核爆弾で海の中に押し込むべきだ」などと、日本攻撃を予告するような声明を発表していた。

 菅義偉官房長官は15日朝の緊急記者会見で「付近を航行中の航空機や船舶の被害情報は確認されていない」と述べた。北海道上空は日本と欧州などを結ぶ航空機の定期空路で、北太平洋は世界屈指の漁場である。北朝鮮の行為は一歩間違えば一般人の生命と安全を奪いかねない暴挙といえる。

 国際社会の制裁も効果を発揮しなかった。

 国連安全保障理事会は11日、北朝鮮の「6回目の核実験」を受けて、北朝鮮への原油や石油精製品の輸出に上限を設定した制裁強化決議を全会一致で採択した。原案では「石油の全面禁輸」「正恩氏の個人資産凍結」などを踏み込んでいたが、北朝鮮に融和的な中国、ロシアに妥協する形で、「骨抜き」の制裁決議となったのだ。

 今回の弾道ミサイル発射を受け、レックス・ティラーソン米国務長官は、中国とロシアに「直接の行動によって、無謀なミサイル発射を許さない姿勢を示さなければならない」と圧力強化を促す声明を発表した。

 ドナルド・トランプ米政権は単独制裁の強化も打ち出している。

 スティーブン・ムニューシン財務長官は13日放送の米FOXニュースのインタビューで、「北朝鮮と取引のある、すべての国との貿易を停止するための大統領令の準備が整った。大統領が望めば、いつでも発動できる」と語った。名指しは避けつつ、中国やロシアに「貿易停止」をチラつかせて対北朝鮮締め付けへの同調を迫る狙いだ。

 軍事的圧力の強化も注目される。

 世界最強の米軍は、原子力空母「ロナルド・レーガン」を横須賀基地(神奈川県)から出港させ、周辺海域の警戒任務に当たっている。

 加えて、「正恩氏が最も恐れる」といわれるB-1B戦略爆撃機「ランサー」が、米軍横田基地(東京都)で16、17日に行われる日米友好祭に参加する。北朝鮮への示威行動であるのは確実だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「国連安保理の制裁決議では『北朝鮮が弾道ミサイルを発射したら、さらなる制裁を科す』という文言がある。今後、『石油の全面禁輸』など原案に近い制裁が加えられる可能性がある。ただちに戦争になることはないが、日本の全テレビが緊急放送する事態を、同盟国・米国が無視するわけがない。目にみえる形で何らかの圧力が高められることになるだろう。空母『ロナルド・レーガン』やB-1Bと自衛隊の合同訓練などが考えられる」と語った。

 独裁者が対話に応じるのは、自らの生命に危険が迫ったときだけということは歴史が示している。正恩氏の父、金正日(キム・ジョンイル)総書記が2002年に日朝首脳会談に応じたのも、「テロとの戦争」を実施していたブッシュ米政権の強烈なプレッシャーにおびえたからというのが定説となっている。

 正恩氏の理不尽な恫喝(どうかつ)に、断固として対峙できるのか。世界の正義が試されている。




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