(朝鮮日報日本語版) 【コラム】全く、国とは言えない(朝鮮日報日本語版)



 二人の人間が砂漠を歩いている。一人は水筒を持っていて、もう一人は拳銃を持っている。拳銃を持っている人間は、もう一人を撃ち殺して水筒を奪おうか、あるいは脅して奪おうか考えている。ところが水筒を持っている人間は「水を1杯やれば大丈夫だろう」と思っている。どちらが韓国か北朝鮮か、みんな分かるだろう。これは、国防科学の分野に長年従事してきたある人が、ため息をつきながらしてくれた例え話だ。

 株主総会が開かれた。ある人が手を挙げ、会社の問題について何か言った。すると大株主がお互い尋ね合った。「あいつは株式を何%持っているんだ?」。そのうち誰かが答えた。「株は持ってない。なのに口数は多い」。北東アジアの核政治は、核を持っているか、それに劣らぬパワーを持っている国同士のゲームだ。韓国はそのゲームで、株式を1株も持たないのに「運転席に座る」と言っている国だ。1株も持たないのに、大株主とはことごとく対立した。米国とはおかしくなり、日本とは疎遠になり、中国とは仲たがいした。北朝鮮という新たな株主は、目を向けもしない。

 1991年より前は、韓国に核(米軍の戦術核)があり、北朝鮮には核がなかった。それが、韓国から核がなくなり、北朝鮮に核があるという、あべこべの形になった。国際政治の歴史上、こんな逆転はない。一体どうしてこんなことが可能だったのか気になり、91年の本紙を読み直してみた。11月9日付、1面トップは「在韓米軍の核、年内に撤収」だ。その横にある、もっと大きな記事が「盧泰愚(ノ・テウ)大統領、韓半島(朝鮮半島)非核化宣言」だ。韓国国内の核兵器を全面撤去し、今後核を保有・製造・使用しないという内容で、「非核の門をまず南が開け、北に核の放棄を迫る」というものだった。

 続いて12月19日付、1面トップは盧大統領の「韓国国内の核不在」宣言だった。米軍の戦術核が全て引き揚げられたという意味だ。92年1月1日付、1面の冒頭記事は「南北非核宣言完全妥結」だ。南北双方が核兵器の試験・生産・受け入れ・保有・貯蔵・配備・使用を禁止するという内容。北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)の核査察を受け入れると約束した。その日、盧泰愚大統領は新年のあいさつで「われわれの自主的な努力により核の恐怖がない韓半島を実現しようという夢で、大きな進展が実現した」と語った。「北が核兵器製造技術を持たないと表明したことは、本当に喜ばしい」とも語った。

 全ては、北朝鮮による完全な詐欺だった。南北非核化宣言に合意したその日も、北朝鮮は寧辺でプルトニウムを抽出していた。金日成(キム・イルソン)主席は米軍の戦術核が撤収したのを確認した後、韓国の鄭元植(チョン・ウォンシク)首相と会談した席で「われわれには核がない。在韓米軍を撤収させよ」と要求した。「核査察の約束を守れ」という韓国側の要求には答えなかった。韓国という国の間抜けなドラマと、北朝鮮の核の悪夢が同時に開幕した。

 北朝鮮の核問題の過程は、歴代韓国大統領の北朝鮮に対する無知と幻想が国家の安全保障を崩壊へと追いやっていく、完全に「国家の失敗」の歴史だ。盧泰愚大統領の後を継いだ金泳三(キム・ヨンサム)大統領は、北朝鮮が核爆弾を作っているにもかかわらず、就任演説で「いかなる同盟国も、民族より勝るということはあり得ない」と語った。金大中(キム・デジュン)大統領は、金正日(キム・ジョンイル)総書記との首脳会談を終えた後、「われわれにも新しい日が差してきた。分断と敵対に終止符を打ち、新たな転機を開く時期に至った」と語った。「北は核を開発したこともなく、能力もない。私が責任を持つ」という発言が報道されたこともあった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は「北朝鮮の核の主張には一理ある」と言った。盧大統領は2006年、「北にかなり譲歩する」「北朝鮮の核問題はうまく管理していけるだろう」「北朝鮮には何ら核実験の兆候がない」と言った。その直後、北朝鮮は最初の核実験を行った。すると盧大統領は「北朝鮮に核兵器があっても韓国は優越的軍事バランスを有している」と、4次元的な主張を行った。当時の外相は、北朝鮮がミサイルのテスト用に発射した長距離ロケットを「人工衛星用」だと言った。

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