(朝鮮日報日本語版) 【コラム】THAAD環境影響評価、結局何のためだったのか(朝鮮日報日本語版)



 2009年の韓国軍情報司令部での新築事業、13年の西北島しょ(西海〈黄海〉沖の北方限界線〈NLL〉近くにある島々)要塞(ようさい)化事業、16年の海兵航空団事業…。これらの事業には一つの共通点がある。どれも軍事機密や軍事作戦の緊急性を理由に、環境影響評価が免除された。これらの事業のほかにも、軍事施設が環境影響評価を免除されたケースは数え切れないほど多い。

 現行の環境影響評価法では、国防部(省に相当、以下同じ)の長官が、軍事上高度な機密保護が必要、あるいは軍事作戦の緊急な遂行のために必要と認め、環境部の長官と協議した事業については、環境影響評価を免除すると定めている(23条2号)。高高度防衛ミサイル(THAAD)と似たような働きをするパトリオット・ミサイルの基地などが韓国各地にあるが、軍事機密などを理由に、環境影響評価を免除されてきた。

 環境部は今月4日、THAADの配備先を対象にこれまで実施していた小規模環境影響評価について「条件付き同意」の意見を出した。これに先立ち国防部は、昨年末から準備してきた環境影響評価書を7月末に環境部へ提出した。THAADのXバンドレーダーの電磁波は人体や農作物に有害だという怪談が昨年半ばごろから飛び交ったため、国防部が選んだ「窮余の策」だった。環境部は電磁波問題について、国防部が実際に測定した資料、グアムや日本のTHAADやXバンドレーダー基地の文献・資料などを総合検討した結果、人体はもちろん周辺環境に及ぼす影響は微々たるものと判断した。こうした結論は、とうに出ているものでもあった。

 にもかかわらず、環境部は▲周期的に電磁波を測定すること▲測定時は地域住民に視察の機会を与えること▲住民説明会を開催すること-などの条件を付けた。加えて、現政権は「今回は臨時配備」だとして「最終配備するかどうかは一般環境影響評価の後に決定する」と主張した。

 北朝鮮は、何度も東海(日本海)に向けてミサイルを発射し、今月3日には6回目の核実験まで実施した。たった1発で数多くの韓国国民の命を奪える規模の実験だった。こうした危機的状況の中で、THAAD配備が、環境影響評価を免除された先述の事業に比べ緊急性が低い事業なのかどうか疑問に思わずにはおれない。韓国政府は、THAAD配備を「軍事機密」でもなく、「軍事上の緊急性」とも隔たりがあるもののように取り扱ってきた。環境部のアン・ビョンオク次官は今月4日、THAADの小規模環境影響評価の結果についてブリーフィングを行う際「前日(3日)の北朝鮮の核実験は、今回の協議意見の発表とは無関係」と強調した。一部の韓国政府関係者は「THAADの配備位置なども中継のように全て分かっているのに、今になって『機密』とか『緊急性』とか言い出すのも難しいのではないか」と自嘲的な反応を示した。

 THAADが地域住民の健康や周辺環境に悪影響を及ぼす余地があるとしたら、徹底して検証し、これを住民に十分説明すべきだ。しかし、無害という科学的な数値や結論は何度も出た。THAADの配備も、事実上終わった。にもかかわらず環境影響評価にこだわった人々は、本当に環境被害を懸念しているのか、ならば電磁波の測定はなぜ拒否したのか、THAADをおとしめるためにそうした主張をしたのではないか-と多くの韓国国民が疑いを抱いている。

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