(朝鮮日報日本語版) 【萬物相】子どもを学校に通わせるために土下座する親たち(朝鮮日報日本語版)



 15年前、新聞の社会面にある小学校のクラス委員選挙がトップ記事として掲載されたことがある。京畿道のある小学校5年生のクラスで起こった出来事だ。脳性まひの児童が「クラス委員になりたい」と言って手を上げた。自分の意志も十分に伝えられない児童だった。10人ほど立候補した中で、この児童が大差をつけて1位になった。担任はとまどったが、クラスメートたちが応援した。その学期の終業式の日、クラスメートたちは「お前はおれたちのかっこいいリーダーだ」と拍手してくれたそうだ。

 ソウル市江南区のある地区では名門高校と特別支援学校が隣接している。当初、この地区に特別支援学校を建設する計画が持ち上がると、周辺住民たちは反対運動に乗り出した。教育庁(教育委員会)には抗議が相次ぎ、訴訟も起こった。影響で計画よりも数年遅れたが、なんとか開校にこぎ着けた。2000年の秋に二つの学校は合同の運動会を開催した。障害のある子とない子がチームをつくり、運動会は大いに盛り上がった。大人たちの偏見や自己中心的な思いを子供たちは乗り越えていったのだ。

 今年5月には英国バーミンガムのある小学校での出来事がBBCニュースで紹介された。生まれた直後に左脚を失った7歳の少女が、英国国民保健サービス(NHS)の寄付で新しい義足を装着して登校したのだ。黄色いワンピースを着たこの少女が登校すると、児童たちが集まり始めた。児童たちは「これが新しい脚か」「すごい」といっては抱き付いて励ました。手をつないで一緒に歩く練習をする児童もいた。子供は教えなくとも良いことが分かり、自分からそれができるようだ。

 先週、新聞に掲載されたある1枚の写真に心を痛めた。ソウル市内のある地区に特別支援学校を建設する話が持ち上がり、地元の住民たちが激しく対立した。障害を持つ子供の親たちは土下座して「うちの子も学校に通えるようにしてほしい」と泣きながら頼んだ。この地域の住民が特に偏見がひどいわけではない。ソウル市内ではここ15年間、新しい特別支援学校は建設されておらず、また韓国全体でも特別支援学校は全国に170校しかない。障害のある子供は全国に9万人いるが、彼らが皆勉強するにはあまりにも少ない。身体が不自由な子供たちは通学に2-3時間は要する。彼らはほぼ全て親たちが通学に付き添わねばならない。

 脚が不自由だった故・張英姫(チャン・ヨンヒ)元西江大学教授が大学の入学試験を受けたのは1970年代の初めだった。今よりも周囲の偏見がずっとひどかった当時、父の故・張旺禄(チャン・ワンロク)ソウル大学教授(当時)が複数の大学を回って娘に試験を受けさせてほしいと頼んだ。どこも拒絶したが、西江大学のある外国人教授が「試験は頭で受けるのであって脚で受けるのではない」と言って試験を受けさせてくれた。知的障害のある娘を育てた作家のパール・S・バックは「娘がいなければ、私は間違いなく自分よりも劣った人たちを憎む傲慢(ごうまん)な態度を捨てられなかっただろう」と書き残している。障害のある子を持つ親たちは、子が先に死ぬと誰もが自分も早く逝くことを願うという。愛は偏見に打ち勝つことができる。土下座する母親たちに愛の手を差し伸べなければならない。

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