(朝鮮日報日本語版) 【コラム】韓国を窮地に追い込む「戦争を心配するふり」(朝鮮日報日本語版)



 秋夕(中秋節)連休にどこに行っても、「このままでは戦争が起きるのではないか」という言葉を聞いた。しかし、紙面の製作過程で接した専門家の意見はいずれも「戦争までには程遠い」というものだった。ある元安全保障担当高官は「0%だ」と言い切った。

 最近話題に上る「戦争」は、北朝鮮ではなく、米国による戦争だ。「2つの空母艦隊が展開しているのだから、その気になれば攻撃できるのではなか」といった声が聞かれる。単純比較は難しいが、米国が同時多発テロ以降、イラクを攻撃した際には空母6隻が展開した。安全保障を担う現役の関係者、元関係者は「北朝鮮を攻撃する計画上は5つの空母艦隊が必要だ。空母2隻では持ちこたえられない」と話した。「巡航ミサイル154発を搭載した原子力潜水艦も来ていない」との声もある。イラク戦の当時、米国防総省は「初日だけで巡航ミサイル400発」を撃ち込んだと発表した。現在韓米が優先攻撃目標にしている北朝鮮の目標物は750カ所以上ある。原子力潜水艦1隻が加われば可能な攻撃規模ではない。米同時多発テロからイラク戦争開始まで1年半かかった。イラク南部の指揮管理センターを武力アピール目的で爆撃するまでにも1年4カ月を要した。ミサイルなどさまざまな兵器、装備の生産も必要せあり、米軍を保護するためのさまざまな措置も求められる。国際的な名分を積み重ね、各国を説得する上でも時間がかかった。さらに当時イラクには米国人がほとんどおらず、北朝鮮にとっての中国のような「保護国」もなかった。専門家は「本当の戦争シグナルとしては、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)やパトリオットなど米軍保護のための装備が大量に搬入させるなどすることが必要だ」と指摘した。イラク戦争の場合には、それが開戦2カ月前に行われた。

 むしろ外交・安全保障担当の国政担当者は「今懸念すべきことは米国の攻撃ではなく、韓国と米国の国民の『戦争懸念』を理由に、米国が北朝鮮の核を容認し、米国にとって心配の種である大陸間弾道ミサイル(ICBM)についてのみ、北朝鮮と取引することだ」と指摘する。北朝鮮が望むのは、韓国を攻撃する核・ミサイルは公認を受け、米国とは関係改善を進めることだ。一方、米国が容認できないのは、北朝鮮によるICBMの完成だ。そのため、妥協点として、現状凍結論が浮上する。しかし、それは韓国にとっては最悪だ。米国との同盟は弱体化し、北朝鮮は韓国の命脈を握ることになる。

 実際にそういう兆しが見られる。トランプ米大統領は来月、中国で習近平国家主席と会う。そこで北朝鮮の核問題の行方が定まる可能性が高い。それを控え、北朝鮮最高人民会議の金永南(キム・ヨンナム)委員長は数日前、平壌を訪問したロシア議員に「射程距離3000キロメートルの弾道ミサイルは既に保有した。米本土を攻撃できる射程距離9000キロメートルのミサイルは開発中だ」と述べた。米国に聞かせるためだ。トランプ大統領も最近、軍事行動の検討会合を開く一方、キッシンジャー元国務長官と会った。中国とのビッグディール論に対する助言を聞いたとされる。トランプ大統領は「3000キロメートルまで容認」という妥協に誘惑を感じるはずだ。まして、北朝鮮による最大の被害者となる韓国の政府が「戦争は絶対に認めない」と背中を押すのだから、妥協をためらう理由はない。

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