(朝鮮日報日本語版) 五輪協議は後回し? 北が「芸術団派遣」協議を急ぐ理由(朝鮮日報日本語版)



 北朝鮮が、平昌冬季五輪を政治宣伝の場として利用しようとしていることが明白になってきた。北朝鮮は、韓国政府が12日に「平昌五輪参加に関する実務会談」を提案したのに対し「芸術団派遣のための実務接触を15日に開催しよう」と13日に提案してきた。牡丹峰(モランボン)楽団など北朝鮮の芸術団は「金正恩(キム・ジョンウン)体制の偉大性の宣伝」が唯一の任務かつ存在理由だ。北朝鮮にとっては、韓国が開催する五輪自体の成功よりも、自分たちの政治宣伝が主な関心事というわけだ。

■「五輪参加」の議論は後回しに

朝鮮が至急議論すべき本質的な問題を無視したまま、急ぐ必要のない些末な問題を持ち出してきたからだ。韓国政府関係者は「現段階で最も急ぐべきなのは、南北が平昌五輪に関する実務会談を開催すること」と述べた。20日にはスイス・ローザンヌで韓国・北朝鮮と国際オリンピック委員会(IOC)が、北朝鮮選手団の規模、統一チーム結成の有無、合同入場問題、国旗・国歌・ユニホームなどの問題について話し合わなければならないからだ。

 芸術団派遣問題を最優先するという北朝鮮の態度には、北朝鮮が平昌五輪への参加を決めた真の意図が如実に表れているといえる。五輪参加を政治宣伝のチャンスにしようというわけだ。北朝鮮は9日の南北高官級会談の際にも、「選手団をできるだけ多く派遣してほしい」という韓国側の提案に対し「(選手団以外に)高官級の代表団、応援団、芸術団、テコンドー演武団、観戦団、記者団を派遣する」と表明した。北朝鮮の選手団は10-20人規模だが、それ以外の人数は400-500人に達するとの見方もある。

 慶南大の金根植(キム・グンシク)教授は「北朝鮮は表向きには『民族の同質性を回復する』という大義名分を掲げているが、実際には純粋なスポーツの祭典である五輪を政治的に変質させようとしている」と指摘した。

■北朝鮮の公演は「金正恩称賛」一色

 北朝鮮の芸術団の公演は、ほとんどが金正恩(キム・ジョンウン)委員長の偉大さと体制を宣伝する内容となっている。芸術団が韓国でも同じスタイルで公演するのであれば、大きな議論を呼びそうだ。団員たちが平壌での公演と同じように軍服で登場したり、舞台のスクリーンに金委員長を称賛する内容やミサイル発射シーンを映し出したりする可能性がある。北朝鮮筋は「2015年12月に牡丹峰楽団の北京公演が直前で取りやめになったのは、舞台のスクリーンにミサイル発射場面を映し出すことをめぐって中国側と対立したからだ」と明かした。韓国の自由民主研究院のユ・ドンヨル院長は「牡丹峰楽団など北朝鮮の芸術団は公演で『わが民族同士』『民族の協調』などを強調し、韓国国内の対立を引き起こそうとする可能性がある」と指摘した。

 15日の実務会談でも、公演の内容をめぐって南北が対立する可能性が高い。韓国のシンクタンク・世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は「実務接触では、北朝鮮芸術団の服装や公演方式・内容について、詳細にわたり協議する必要がある」と述べた。

 一方、ソウルの総合文化施設「芸術の殿堂」の関係者は「今月6日に文化体育観光部(省に相当)から、2月のオペラ劇場、音楽堂、コンサートホールの空いている日時を聞かれ、その日時を今後も空けておくよう依頼された」と話した。これは南北高官級会談(9日)以前から、北朝鮮の芸術団の公演について南北が水面下で接触していたことを示唆している。

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