[インタビュー]「さびた船と一緒に希望もあがった」(ハンギョレ新聞)



イ・ソクテ前セウォル号特別調査委員会委員長

 「今日あがって来たのは赤くさびた船だけではありません」

 セウォル号の船体が水面の外に姿を現した23日、イ・ソクテ前4・16セウォル号惨事特別調査委員会(特調委)委員長が口を開いた。イ前委員長は、政府と与党、そして特調委内部の「Xマン」(与党推薦委員および派遣公務員)のあらゆる妨害に対抗して真相調査などの活動を繰り広げ、昨年9月30日に強制解散された特調委の1年9カ月の歴史の生き証人だ。彼は引き揚げられたセウォル号の船体を「未回収の行方不明者の家族たちがようやく哀悼の過程を始めることができ、沈没の原因を科学的に究明することができ、悲劇が繰り返されないように代案をつくるようにする具体的対象」だと指摘した。

 しかし、目の前の課題は決して少なくない。沈没当時の状態をそのまま維持しながら完全に船体を引き揚げるのが最初の課題だ。何より未回収の行方不明者を捜すためだ。イ前委員長は「それは『人間』の問題であるため最も重要だ。未回収者家族たちが哀悼の過程を終えることができなければ、一歩も先に進むことができないだろう」と強調した。沈没の原因を調査するためにも船の状態が保存されなければならない。彼は「科学の力を信じなければならない。船体調査委員会が能力と倫理を備えた専門家たちで構成されれば、科学的に原因を見つけるのはそれほど難しいことではないはずだ」と見通した。

 調査過程は時間との闘いでもある。特調委の活動期間は真相究明には到底足りなかった。イ前委員長は特調委時代、船体調査計画を立てるだけでかなり長い時間がかかった記憶を振り返った。彼は28日、船体の調査委員会の委員が選定されれば、直ちに準備団を立ち上げることを注文した。準備団には公務員も派遣され、船体の調査特別法施行令と予算案の作成作業を同時に進めなければならないと強調した。イ前委員長は「すでに事故調査と船体の調査計画の経験を持った特調委調査官出身たちも一部参加すれば、直ちに調査に投入できるだろう」と説明した。

 しかし、急ぐのは絶対禁物だ。未回収者と犠牲者の遺品、事故原因を究明する手がかりが船の中にたくさんある。イ前委員長は「そのうえ、中には把握されていない行方不明者がさらにいる可能性も排除してはならない」とし、「ピンセットで物をつまむように一つ一つ緻密で慎重に接近しなければならない」と強調した。遺族の同意を求めるのにかかる時間も惜しんではならない。彼は「家族を早く探したい心情を受けとめて絶えず対話し、すべての情報を完全に公開して、彼らが少しの心残りもないようにしなければならない」とし、「このため、新政府のリーダーシップが何よりも重要だ」と話した。

 問題は、調査期間が「基本6カ月+4カ月延長」に限定されていることだ。イ前委員長は「調査期間を十分に保障しなければならない」とし、「船体の調査委員会の活動が終われば、2期特調委を構成して活動を続けてほしい」と表明した。彼は「真相調査活動の究極的目標はこの惨事で教訓を得て、より安全な社会を作り、同じような事態に対応できる具体的な代案を設けること」だとし、「その時こそようやくセウォル号の惨事の全体に対する報告書を書き、韓国社会に提出できるだろう」と話した。(特調委は強制解散直前に「活動白書」の代わりに「中間点検報告書」を出版した)

 「このすべてが完遂されて個人が受けた不幸が個人的な不幸ではなく、社会や国が抱えて解決してくれるということを経験すれば、韓国社会は信頼も回復され、大きく前進できるはずです。そうなるでしょう。朴槿恵(パク・クネ)政権がそうでなかったために、遺族たちに対するイルベ(極右性向のネットコミュニティ)の侮蔑言動もあったのではないですか」。イ前委員長は「船体があがるとセウォル号の記事に書かれていた悪質なコメントも消えていた」とし、「さびた船があがり、希望も一緒にあがったということ」だと話した。

アン・ヨンチュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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