「通帳に残った31万円は妻と妹に…」あるネパール移住労働者の死(ハンギョレ新聞)



昨年韓国に来た20代の移住労働者 7日未明、工場の寮で首を吊って死亡したまま発見される 遺書には「他の工場も行けず、ネパールに行って治療も受けられない」 会社側「会社を移したいという話を聞いたことはなく 『ネパール戻りたい』と言われ、それに向けて協議していた」 市民団体「雇用許可制による死」

 「こんにちは、みなさん。私は今日、この世に別れの挨拶をします」

 今月7日未明、忠清北道忠州(チョンジュ)のある部品製造業工場の寮で、一枚の手紙が発見された。同日未明、工場の寮の屋上で首を吊って死亡したまま発見されたネパール移住労働者のケシャブ・シュレスタさん(27)の遺書だった。彼はスプリング・ノートに走り書きしたネパール語で、世の中に別れを告げた。「健康問題と不眠でこれまで治療を受けても改善されず、時間を過ごすのがつらくて、今日この世から旅立つために許しを請います。会社でもストレスが溜まり、また別の工場に行きたくても行けず、ネパールに行って治療を受けたくても、それもかないませんでした」

 シュレスタさんは昨年初め、韓国に来た。結婚してからわずか3~4カ月の頃だった。妻と妹が韓国に向かうシュレスタさんを見送った。部品製造工場に就職した後、昼・夜間12時間ずつ、2交代で1年7カ月間働いた。しかし、3~4カ月前から深刻な不眠症に苦しんだ。5月頃、週間勤務だけをするように勤務パターンを変えたが、一睡もできず朝を迎える日が増えていった。シュレスタさんと親しかったネパールの労働者K氏は「静かでよく寝れそうな空間をシュレスタさんに教えたりしたが、健康が回復しなかった。他の職場で働きたいという話をよくしていた」と伝えた。

 「清州移民労働人権センター」と移住労働者の憩いの場の「清州ネパール憩いの場」の話によると、先週、シュレスタさんと会社は2回面談を行った。「職場を移したい。それができないなら、ネパールに行って治療を受けてから、再び会社に戻りたい」という彼に、会社側は「チームを移したらどうか」と提案した。シュレスタがこれを断ると、「ネパールに戻った方がいい。手続きを踏むために、ネパール行きの飛行機チケットを用意して来い」という答えが返ってきた。シュレスタさんは「生きる意味がない。何の選択権もない」と訴え、7日夜中の3時まで同僚たちと話を交わした。同日の朝、朝の体操時間に現れなかったシュレスタさんを探していた寮のルームメートによって、彼は遺体で発見された。彼は遺書の最後にネパールに残してきた家族に言及した。「私の口座に320万ウォン(約31万円)があります。このお金は私の妻と妹に渡してください」

 シュレスタさんの死は忠清北道清州で移住労働者のための「清州ネパール憩いの場」を運営するパンデイ・スニタさん(40)が遺書を韓国語で翻訳し、清青年移住民人権の会「移住タンポポ」のフェイスブックに共有したことで、外部に知られた。

 移住タンポポとスニタさんは書き込みで「雇用許可制のため、一人が死んだ」と主張した。彼らは「きつい仕事とストレスで体調を崩し、会社を変えるか、ネパールに行って治療を受けたいと何度も要請したが、会社の外国人管理チームでは彼の要請を聞き入れてくれなかった」としたうえで、「雇用許可制に該当する外国人労働者は雇用主が承諾しないかぎり、今務めている会社がよくなくても、自分の意思で会社を変えることが制度的に難しい」と指摘した。外国人勤労者の雇用などに関する法律によると、雇用許可制で入国した移住労働者の事業場変更は原則的に制限されている。3年間会社を3回移すことができるが、例外的な場合に限って認められる。使用者の承認があるか、賃金未払いのように、使用者が労働基準法違反行為をした場合など、例外的な場合にのみ事業場の変更が可能である。会社側は9日、ハンギョレとの電話インタビューで「シュレスタさんが会社を移したいと直接的に言ったことはない。『会社を辞めてネパールに戻りたい』と話したので、それでは7日に労働部に申告手続きをするため、飛行機チケットを用意するなど、関連手続きについて協議してみようという意向を伝えた状態だった。会社には故郷に行って来た外国人労働者も多い。それを認めない理由がない」と話した。

 最近、ネパール人移住労働者の死が相次いでいる。今年5~6月にスニタさんが聞いたネパールの労働者の死亡ニュースだけで、合わせて6件に達する。今年5月、20代の青年2人は慶尚北道軍威郡(クニグン)のある養豚場で浄化槽を掃除する際、糞尿ガスに窒息して死亡しており、慶尚南道巨濟(コジェ)地域のある工場で働いていた20代の青年は4階の高さから落ちてこの世を去った。睡眠中の心臓麻痺で死亡した人もいる。また2人は事業場を変えようとしたが、事業主に認めてもらえず、自ら命を絶った。スニタさんは「働いている間に死ぬ人も多く、雇用許可制の問題点によって事業主と摩擦を起こし、自ら命を絶つ人も多い。結局、ストレスでこんなに苦められるなら、死んだほうが楽だと考える人たちが増えている。今度はまた、遺族にどうやって訃報を伝えたらいいか、気が重い」と話した。

コ・ハンソル記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr)

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