(朝鮮日報日本語版) 旅客船沈没:セウォル号、引き揚げまでなぜ3年もかかった?(朝鮮日報日本語版)



 2014年4月に韓国南西部の珍島沖で沈没した旅客船セウォル号の引き揚げ作業が始まり、作業開始から1日もたたずに船体が海面上に姿を現した。このため「こんなに短時間で引き揚げられるのに、なぜ引き揚げ開始まで3年もかかったのか」と疑問の声が上がっている。海洋水産部(省に相当)は「技術的に難しい作業であるため、途中で引き揚げ方式を変更するなど試行錯誤を繰り返した」と説明している。

 まず、事故直後は政府が犠牲者の遺体収容作業に集中した。事故直後に船体を引き揚げるべきという意見もあったが、遺族らが「遺体が流失する可能性がある」として反対したため、海中での遺体の捜索作業が続いた。2014年11月、9人が行方不明のまま捜索作業の終了を宣言したが、それまで7か月にわたり潜水士たちが海中で悪戦苦闘しながら捜索を続けた。捜索終了後にようやく引き揚げ作業の本格的な議論が始まったが、賛成・反対意見がぶつかり合い、政府が船体引き揚げの方針を正式に発表したのは事故から1年後の15年4月だった。引き揚げを決定するだけで1年もかかったのだ。

 引き揚げ決定後、引き揚げ作業の担当企業に選ばれた上海サルベージは15年8月から作業を開始。このとき韓国政府が約束した期間は1年だった。海洋水産部と上海サルベージは当初「フローティングドック(浮きドック)」方式での引き揚げを検討していた。船体をワイヤーで巻き、超大型の海上クレーンで引き揚げた後、フローティングドックに載せて移動させるという方式だ。簡単で遺体流出の可能性も低いという理由で当初はこの方式で進められた。

 しかし、実際に作業に着手したところさまざまな困難が発生したという。船内に残っている油を除去する作業だけで1か月を要した。また、船体が沈んでいる海底の地盤が硬く、海底を掘って船尾を持ち上げる設備を設置するだけで5か月かかるなど、技術的にも困難なことが多かったと海洋水産部の関係者は説明する。基礎作業だけで1年近くを要した末に、昨年7月にようやく船首を持ち上げることができた。しかし、船尾を持ち上げる作業が困難を極める中、冬に強風が吹けばクレーンでの引き揚げ作業は危険だとの意見が挙がった。結局、1年3か月の悪戦苦闘の末に昨年11月にフローティングドック方式を諦め、今回の引き揚げ方式であるバージ船方式に変更した。超大型バージ船2隻を使い、船体につながれた引き揚げ用ワイヤーを巻き上げるという方法だ。

 海洋水産部の幹部関係者は「わざと引き揚げを遅らせたとか大統領選挙に合わせて引き揚げたなどの推測は全てデマだ」として「可能限り早く引き揚げようと努力した末に、天気が味方して現在の引き揚げ作業が行われている」と話した。しかし海洋水産部の内部でも「当初からバージ船方式を採用していれば1年は短縮できたはずだ」との指摘が出ている。

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